てだれの戦乙女(いくさおとめ)

「蕾アップリケもよく似合う。ポケットがたくさんあって助かったし」白群(びゃくぐん)のジーンズのポケットに詰めようとすると、布が硬くてパキパキンと折れてしまったのでした。
「あの貫禄は、今どんなに頑張っても出せないわね。年季が入用よ。もっと大きくなったらああいうお婆さんになる」
シアーでない濃い色の口紅は大人の女性にしか扱えない武器です。

たらいまわし、お子様は優先席

その駅には付属建物が沢山あって入り組んでいます。
どこの窓口に並んでも何度でも「願い事妖精国行き」の切符売り場に回されてしまうので、しかたなくその切符にしました。
子供専用の窓口があって、そこに並べる子供にお使いを頼めれば、早く買えるようでした。
「早さはいいの。行き先なの」

行き先詳細絵図鑑ボディランゲージ

ピンク色に塗られた校倉造(あぜくらづくり)オフィスビル街、
嘆きの底なし沼海がめ甲羅上、
決して当らないので少し参考になる神託の炭酸水泉、
いろんな行き先の窓口があったのですが。

なるべく当り障りないように慎重に

「願い事をしなきゃいけない感じがしない? 3つ目で元の木阿弥になるタイプの」綿帽子は口を尖らせました。
「もう、ピンク色の校倉造行き切符を願えばいいよ」

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