平安調御猫

犬が多くて、つながれていません。そして猫は、首輪に紐をつけて散歩するもののようでした。犬と違って、しつけなんてできませんから、とんでもなく長い紐の先で転げまわっています。
「猫って勝手に散歩して戻ってくるものじゃないの。人を噛んでもひどい怪我にならないし」綿帽子は不思議に思いました。
「普段家の中で飼ってて、道を知らないのかな」藤紫(ふじむらさき)も、首を傾げています。

ツンとしたお澄まし猫

犬は、血統書付というような澄ました顔立ちのがいなくて、みんな野良犬みたいに見えました。好きにうろついてるからもあるでしょう。これだけ放って置かれるなら、噛まれたりする事故はあんまりなかったはずです。
「猫はつながれてるから野良猫が増えることはないわね」
「野良犬がこんなにいるんだから猫が少し増えたって」
「なんだか妙に美人の猫しかいない」
「猫は子猫しかいないみたいだ。大きくならない品種なのかな」
「ああ、それで。チワワ猫なのね」

平安ベルエポック折衷

馬車と牛車と車が道を走っています。綿帽子はあの牛車を見ると、「とにかく『早くしなくちゃ』と思ってたのがわかる」と思いました。「何をってわけじゃないけど」
「例えばさっきは、落ちながらパリパリ折り取ってくるので忙しかったよね」
馬車が乗合バスのようです。「乗合馬車っていうんだよ」とクロッカスがいいます。「あの人は御者」

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