フルーツフルーツ
「おいしそうなら食べられるよ」と天色(あまいろ)はいいます。「いいかげんな判定ね」と綿帽子は抗議しました。
「茸や虫は、おいしいかなちょっと危なそうかなって思うけど、果物ならおいしいに疑いないよ。毒見するね」
たしかにその果物は甘いわくわくするような香りで待ちかまえているのです。ライチのようなでこぼこした緑色の皮をむくと、ねっとりしたオレンジ色の果肉がでてきました。
「ほらすごく味が濃い。レモンより酸っぱくて洋梨より甘い刺激的な味」
味見
「小川の水がラムネ味だったりするかしら」綿帽子は食べたり飲んだりしに木星に来たんです。「でもそしたら、お茶が飲みたい時には味のしないお水を探すのね。お魚だって虫歯だらけになるわ」「生水はダメだよ。サイダー味でもお腹を壊したら大変」
星霜
鬱蒼とした森なので、綿帽子が歩くとふわふわのオーガンジーがあちこち引っかかって裂けてしまうのです。綿帽子は枝を避けきることができませんでした。腕はショールで覆っても、膝と靴下の間が引っかき傷だらけです。ホライズンブルーは綿帽子が通りやすいように枝や潅木や草を除けてくれるのですが。服のカギ裂きになったところは、すぐに雪の結晶のように素敵に綺麗で様様な模様のチュールレースになるので、前より素敵になるのでした。一番上のオーガンジーだけ木や草の色を映して緑色に染まってきて、メイクィーン(五月の女王)のようです。