陽気な骸骨
「うっそうとした森ね。木しか見えないわ」木星だけに。
「水の流れる音がする。どこかに小川があるんだわ。どっちから聞こえてくるのかがわからないわね。地球にだって森はあるんだから、そうよ、ここにだって森じゃないところもあるのかもしれない。樹海は木ばっかりじゃなくて、髑髏が落ちてたりするけど、そんな飾りはここにはないわ」
綿帽子は自分に向かって喋ってるみたいでした。虫の声にかき消されるし、ヘブンリーブルーはうっとりとそこらを眺めていて全然返事をしないのです。
「全く誰にも会わなかったらそれを幸せと断定せざるをえないって人なら、きっとここが気に入るでしょうね」
探検ドレス
「そういえば、裏返したルームシューズと部屋着の水玉ワンピースで来たんだった」と綿帽子は思いました。「木星の人に会ってしまったら、地球の人はこんな格好でお出かけすると思うに違いない、でも、どれだけ歩いても誰にも会いそうにないけど」と足元を見ると、先が細くなって少し反り返り、踵の履き込みは浅い、インド風のヌメ皮サンダルを履いていました。とても細かなビーズが散りばめてあります。服も、ウエストを光る青い絹のサシェで結んだ、ふわふわの白いドレスでした。袖のレースはとても薄くて腕が透けています。みぞおちのところには紋章型の重いブローチが留まっていました。盾を4つに分割した中に蛇と熊と狼と剣が描いてあります。